コラム

【債務整理】弁護士や司法書士が送付する「受任通知」。その効力は?

債務整理をして借金を減額する手続きを弁護士や司法書士に依頼すると「取り立てが止まる」と言われていますが、それはどうしてなのでしょうか。

答えは「受任通知」にあります。

この記事では任意整理や個人再生、自己破産といった債務整理を弁護士や司法書士に依頼すると債権者に送られる「受任通知」についてまとめてみました。

受任通知(介入通知)とは?

受任通知とは、司法書士や弁護士が債務者に代わって債務整理を行う旨を債権者に知らせる通知です。これは「介入通知」や「債務整理開始通知」とも呼ばれます。

では、その「受任通知」にはどんな効果があるのでしょうか。

受任通知の効果

受任通知には以下の二つの効果があります。

  1. 直接の催促が止まる
  2. 一時的に返済が止まる

ではこの2点について詳しく見てみましょう。

1.直接の催促が止まる

弁護士や司法書士が受任通知を送ると、債権者は債務者への直接の返済催促を直ちに停止しなければなりません。金融庁の「多重債務者相談の手引き」にも、取立てが停止されることが記載されています。

督促が止まるのは助かりますよね。

法律専門家が依頼を受けた場合には、貸金業者に受任通知が送付され、貸金業者はそれを受け取った時点から取立てができなくなります

〜金融庁発行「多重債務者相談の手引き」

法律による規制
受任通知を受け取った後、債権者が返済を催促することは以下の法律で禁止されています。

  • 貸金業法 第21条第1項9号
  • 債権管理回収業に関する特別措置法(通称サービサー法)第18条8項

違反した場合、二年以下の懲役または300万円以下の罰金、業務停止や登録取り消しの可能性があります。

貸金業法第21条第1項第9号
債務者等が、貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士、弁護士法人若しくは弁護士・外国法事務弁護士共同法人若しくは司法書士若しくは司法書士法人(以下この号において「弁護士等」という。)に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があつた場合において、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求すること。

〜引用:e-GOV法令検索

受任通知を受け取った債権者には次のことが禁止されています。

  • 電話での返済催促
  • 郵送、FAXなどでの督促状送付
  • 直接自宅訪問による返済要求

これらの行為は禁止されています。

債権管理回収業に関する特別措置法(通称サービサー法)
第18条8項 債権回収会社は、債務者等が特定金銭債権に係る債務の処理を弁護士、弁護士法人若しくは弁護士・外国法事務弁護士共同法人に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとった場合において、その旨の通知があったときは、正当な理由がないのに、債務者等に対し、訪問し又は電話をかけて、当該債務を弁済することを要求してはならない

〜引用:e-GOV法令検索

2.一時的に返済が止まる

受任通知が送られると債務整理が始まり、和解が成立するまでは返済が一時的に停止します。債務整理には以下の3つの方法があります。

  1. 任意整理:利息カットによる減額
  2. 個人再生:借金の圧縮
  3. 自己破産:借金を全てゼロにする

それぞれの債務整理に関する詳細は「借金を減額する方法は4つ!」をご覧ください。

受任通知の効果の範囲

受任通知の効果は、賃金業者や債権回収業者に限定されていますので、銀行や信用金庫、リース会社、取引先企業、個人間の借金には法的な効力はありませんが、通常は弁護士や司法書士が和解まで待ってくれることが多いので安心です。

参考までに、私が任意整理をした時は司法書士に依頼したのですが、ほとんどの債務がクレジットカード会社でしたので、見事にピタリと督促の電話が止まりました。

クレジットカード会社の場合、朝・昼・晩(21時まで)と一日に2,3度は連絡が来ていましたし、数社からの借り入れがあったので督促電話は一日に10回以上ありましたので、それが止まるという安心感は言葉にはできません。

万が一連絡が来た場合は「弁護士・司法書士を通してお話します」と直接の対応は全て断りましょう! それでOKです。

受任通知に関する「よくある質問」

Q:とにかく早く督促を止めてもらいたいので依頼前に受任通知を送ってもらえませんか?

A:大抵の弁護士事務所、司法書士事務所ではあくまでも依頼をしてからの対応になると思われます。しっかり債務整理を行うことのメリットやデメリットを確認したうえで委任しましょう。そのうえでの「受任通知」の送付になるかと思います。

まとめ

受任通知には、催促を停止させる効果がありますが、対象外の債権者も存在します。

受任通知を送ることで、精神的な負担が軽減され、返済計画が立てやすくなります。弁護士や司法書士を通じて、しっかりと対応していきましょう。

 

  • この記事を書いた人

マサ(行政書士・FP)

現役の行政書士・FP(ファイナンシャルプランナー)、そして恥ずかしながら元 司法書士受験生です。病気のために働けなくなり、債務整理をした経験を持っています。 今の世の中、誰もがそんな経験をするかもしれない・・・私の経験がそういう方々のお役に立てたらうれしいです。

-コラム

PAGE TOP